希望のメッセージ 12月22日

 従来の公共政策(ここでは,社会政策という意味で使用する)は,大きな政府として,お金を集めて再配分し,福祉政策としては,生活保護や失業保険などのセーフティーネットを構築し,社会的最低限の生活保障を行ってきた。これらの政策は,不要になったわけではないが,リスク化や二極化によってやる気を失った人に希望をもたせることはできない。戦後から高度成長期にかけては,大きな政府で再配分して企業や業界を保護し,そこから落ちこぼれた個人を救済するために福祉政策を行っていれば,「希望」は,勝手に人々の方からわいてきた。つまり,「努力すれば豊かな生活という形で報われる」という希望があったからこそ,二つの政策が有効だったのだ。
 
 ――山田昌弘『希望格差社会』
 
 

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