希望のメッセージ 6月15日

 一生懸命に努力している人たちに出会うと, つい 「がんばってください」 「がんばってね」 と言いたくなる。 でも 「がんばって」 は, 立ち去るときに使う言葉だ。 だから, その言葉は使いたくない。 なら 「がんばろう」 はどうだろう。 みずからも当事者の一人となって, これからもずっといっしょに困難に立ち向かうというのであればいい。 でも, それだけの覚悟もないままの言葉なら, それは少し無責任に聞こえもする。 
 正直, 私には, 被災された方々に送るべき言葉が, 震災から数ヶ月経った今でも, まだみつかっていない。 ただ大事なのは, 辛抱強く困難に立ち向かっている人たちへの言葉をそれでもあきらめずに探しながら, 何より見守り続けることだろう。 
 
 ――玄田有史「震災のなかの希望」
 
 

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