希望のメッセージ 10月7日

 北村(1983)によれば,希望は次の二つの働きをもっている。第一は,人間の全体的な力を成長させ涵養することである。希望は,特定の目標に対応するような狭いものではなく,未来についての明るい可能性に対応するような全体的な準備を導く。不安や危惧に対する準備は,消極的であったり,防御的であったりする。それに対して,希望は幅広い人間的な力を増進させるのである。
 第二は,新しい希望の発見は新しい価値の発見につながるということである。人生には,希望を見失うことも少なくないが,そのときに,その絶望の暗闇から新しい未来の明かりを見つけて,生きるための意欲をかき立てられることがある。そうしたときに,新しい価値を発見していくことが,人生の危機を乗り越えられる再生の働きをもつといえる。
 
 ――都筑学 『希望の心理学』
 
 

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