希望のメッセージ 8月3日

 何が大切といって,私はひとが生き続けることが何よりも大切ではないかと思う。そして,生き続けるうえで最も必要なことは希望をもつことだと考えている。ただし,「生きていれば,いつかよいことがある」「きっと苦労は報われる」「結局は何とかなるだろう」などという希望ではない。そうした希望も必要ではある。そうでないと行動が起こせないし,やりきれない。やっぱり,ちょっとは楽になろうとして何かをしているのだし,少しは夢を見ないと生きていけない。しかし,結局は,よいことはなくてもいいし,苦労は報われなくてもいいし,何ともならなくてもいいと思えること,このことのなかに希望がある。このことに希望がもてなければ,結局は間違いなく,すべてのひとが絶望の淵にたたき込まれ,とうてい生き続けることはできないように思われるのである。
 
 ――白井利明『<希望>の心理学』
 
 

コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ