希望のメッセージ 9月11日

 エリクソン(1989)は,乳児期の基本的信頼はこうした大人の世話によって培われていくと考えた。自分ではどうしようもない状態にあるときに,誰かがやって来て,その状態を変えてくれるという経験を積み重ねていくことで,信頼の感覚が養われていくのである。逆に,ほっておかれたら,不信の感覚が蓄積されていくのである。エリクソンによれば,このような基本的信頼と不信の対から,乳児期に希望という人格的な力が育っていく。このようにして獲得された希望の力によって,予測された未来に対して自信に満ちた一歩を踏み出していくことができるのである。…
このようにして,赤ん坊と養育者とのつながりのなかから,希望は生まれてくる。希望とは,他者への信頼である。同時にまた,信頼できる他者と自分がつながっているという安心の感情でもある。

 ――都筑学『希望の心理学』

 
 

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