希望のメッセージ 11月30日

 希望とは,明るい未来が待っていると確信できることだけをいうのではない。もちろん,そのことも必要である。私たちは,今日よりは明日,明日よりは明後日が少しでもよくなるようにと願って暮らしているからである。しかし,本当のところは,今,自分自身が生きていること,あるいは生かされていること,そしてそのことを素直に喜ぶことができること,そのなかに希望がある。そのことを実感するために必要なことは,時間的展望のふくらみをもつことである。時間的展望のふくらみとは,現在のなかに過去と未来が統合されることである。それは,思考のなかで過去と未来を自由に往復しながら,生きられる時間としての現在をつくり出し,これらを自己に統合することである。このことによって,過去を引き受け,未来に立ち向かい,現在を受け止めることができるのである。
 
 ――白井利明『<希望>の心理学』
 
 

コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ