希望のメッセージ 9月2日
娘も私もいまでは希望という言葉の意味をこれまでとは違うふうに理解するようになりました。希望というのははっきりと形になって現われるものではないと思うようになったんです。たとえば,一方では事態が悪化し,他方では好転しているという状況があると,人間は状況がどちらに転ぶかを見極めようとしますが,私たちは「そうではない」と言いたいのです。いまの世の中の傾向を見たら,すべてが悪化の傾向をたどっています。しかし,希望はそれとはまったく違うものなのです。希望とは行動であり,その動きの中にこそあるものなのです。希望とは私たちが見出すものではなく,私たちがなるものなのです。そんなふうに,希望は私たちにとってこれまでとはまったく違う意味合いを帯びるようになりました。
私たちが旅の途上で出会った人々は,世界中で最も希望に満ちた人々です。でも,それはその人たちが,「もちろん私たちは自分たちがこの闘争に勝利を収めることを確信している」と言うからではないのです。そうではなく,きわめて不利な状況に挑んで毎日行動を続けることで,彼らは希望を実感しているのです。彼ら自身が希望なのです。彼らは希望を探しているのではなく,希望はそこにあるのです。
――食糧問題専門家・作家 フランシス・ムア・ラッペ(スタッズ・ターケル『希望―行動する人々』より)