希望のメッセージ 12月20日

 ニューエコノミーの「負け組」とは,単に生活ができなくて,住居がなくなったり飢えに苦しむ人ではない。「生活に希望がもてなくなっている人」である。相対的に豊かな社会では,人間はパンのみで生きているわけではない。希望でもって生きるのである。ニューエコノミーが生み出す格差は,希望の格差なのである。一部の人は,努力がオールドエコノミーの時代以上に報われるが,その反対側では,努力が報われないと感じる人を産むのである。ニューエコノミーが,平凡な能力の持ち主から奪っているのは,「希望」なのである。
 セーフティーネットをいうなら,経済的セーフティーネットだけではなく,心理的セーフティーネットをこそ構築すべきなのである。
 
 ――山田昌弘『希望格差社会』
 
 

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